音楽を「作る」ために必要なこととは

音楽との付き合い方は人によって違うものです。ただ聴いて楽しめたらいいという人も多くいるでしょう。リスナーとしての姿勢も「トレンドを追う」という人や「自分が気に入ったものをトコトン聴く」という場合までさまざまであることでしょう。そしてただリスナーとしてではなく、音楽を「作ってみよう」となると、さらに音楽との関係は深くなることでしょう。

音楽を聴くだけではなく、自分で自由自在に操って作りたいという場合は、これまで聴いていた音楽がまた違った側面を見せ始めます。音楽を作る際に、まず最初に感じることは「自由であることの恐ろしさ」です。どのような音をどのように並べてもいいのですから、その自由さは計り知れないものがあります。そして、作ることはできてもそれが「聴けるものかどうか」ということに頭を悩ませるようになるでしょう。音楽を作ることは、無限の可能性の中からある方向に向かって音楽を凝縮させていくことです。そのサウンドやテンポも含めて、音楽なのです。

ただ音符を並べただけでは音楽ではありません。独唱や独奏という場合はあるにしても、基本的には音楽はアンサンブルです。音楽をどのようにまとめていくのかは、どのようなサウンドをどのようなバランスで配置するのかということでもあります。全体のサウンドを考えることはとても大切なのです。

現在では一人だけでアンサンブルを再現することが可能です。個人で購入できるコンピューターは、個人のパソコン上で「完パケ」といわれる最終状態の「音源」が作れるようにまで発達しています。一人でオーケストラを再現することもできますし、一人でバンドサウンドを再現することも可能です。作曲して、演奏して、それを自分で録音して、音のバランスをとる、人に聴かせることができる状態にまで持っていけるのです。

作曲とアレンジは別のものです。作曲は、旋律をひとつ作るだけでも作曲なのです。現在では「音楽を作ること」はこの「作曲」と「アレンジ」の両方を行うことを指すことが多いようです。それもパソコンを用いて音楽をまとめあげることが「当たり前」になってきたからであり、シンセサイザーなどの音源は忠実にさまざまなサウンドを再現できるようになっています。現在では「人の声」ですらソフトによって再現が出来るほどなのです。ソフトに「歌わせる」ということまでが実現されているのです。

生演奏を主体とした音楽であっても電子化され、一般的に市販されているものはCDになります。CDは音質が劣化しにくい「デジタルデータ」での収録になっています。現在では「デジタル」は音楽と切っても切れないものなのです。そしてデジタルサウンドを処理するコンピュターの進歩、ソフトウェアの進歩とともに、個人で出来ることが広がっているのです。現在では一人だけで音源を制作し、CDにしたり配信販売を行うことも可能なのです。そのような時代の「音楽制作」は、自分で「音をまとめあげる」ということなしには語れないものになっているのです。音楽を創るということは、含んだすべての音に対して責任を持つということです。もちろん、「演奏に特化する」という選択も大いに結構なのです。自分がどのように音楽と付き合っていくのか、自分は何をしたいのかを、考えてみると必要なことも見えてくるでしょう。

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