心を癒す音楽

私たちが人間である以上、「心」を捨てることは出来ません。「心」を捨てようと考えること自体、その気持ちには何らかの「思い入れ」があり、「想う」ということ自体が心がある証拠なのです。「感情」は「心」から生み出されるものです。その心はときには疲れたり、傷ついたりするものなのです。心が傷ついてしまうと、不思議と体調も悪くなってしまいます。心が荒むと、健全に生きることができなくなってしまうのです。

音楽にはそのように疲れたり傷ついたりした「心」を癒す力もあります。音楽は「耳」で聴くものなのですが、それを「美しい」と感じたり「かっこいい」と感じたりするのは私たちの心だからです。「音」は空気の振動です。空気があるから、その振動で私たちは「音楽」を聴くことができるのです。空気に乗って私たちの耳に届いた音楽は、今度は心に響くのです。これがただの音であれば、ただ「聞こえた」というだけで終わりですが、音楽はその空気の振動から私たちに少なからず影響を与えることができるのです。

どのような音楽が「心を癒すのか」ということは一概にはいえません。ですが、誰もが「何度聴いても飽きない」という曲があるものです。一曲聴き終わったあとに再度また聴きたくなるような音楽があるものです。そのような音楽が、そのような曲が、真にその人を癒す音楽なのではないでしょうか。静かな旋律、静かな伴奏、ゆったりとしたものだけが心を癒すわけではないのです。ひとりひとりがどのような音楽で心を癒されるのかは、実にさまざまだからです。

ですから、「心を癒すための音楽」などというものは存在しません。万人が心を癒されるような音楽はないのです。人によって、「これを聴けば元気になる」という音楽があり、それは歩んできた人生の体験なども裏打ちされ、唯一無二の「宝」として存在するものなのです。ただ静かであれば癒せるというわけではありません。人生の転機に聴いた一曲とずっと付き合うこともあります。そのような曲を聴くことでモチベーションを保つことだってあるのです。他の人は騒々しいと感じる音楽も、聴く人によれば心を癒す音楽なのです。

音楽のカタチは自由、楽しみ方も自由です。その音楽とどのように付き合ってきたか、これからどのように付き合うのか、とうことでもその音楽の「価値」は変わるものなのです。私たちひとりひとりに、自分だけの応援歌があり、明日を元気に生きるための音楽があります。どのような曲で元気になるのかは人それぞれです。誰も否定できません。その時の体験と共に心にインプットされる「音」は、私たちの明日に活力を与えたり、背中を押してくれたりするものなのです。心の栄養を補充するための音楽は、いつまでも私たちと共にあります。そんな音楽があるからこそ、心が疲れるような仕事や困難な局面を乗りきれる。そのようなものなのです。私たちは音楽に生かされているということもあるのです。自分だけの大切な曲と出会うことは、人生を乗り切るための大きな「味方」を得ることでもあります。その味方はずっとあなたを裏切ることはありませんし、いつでもなんどでも心に栄養を補充することができるようになるのです。

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